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朝10時半に起きると、とてもいいお天気だった。
そうだ、フリーマーケットめぐりをしよう!と思い立ち旦那をやさしくたたき起こした。目覚めた旦那は言った。「せっかくのお天気だし、出掛けるならもっと、富士山が見えるくらいの遠出をしよう」
わかなは富士山に弱い。むっちゃ弱い。「富士山が見える」の一言でマンションだって買っちゃおーかなーって思っちゃうくらいだ。もうフリマにはかけらの未練もない。大急ぎで用意をし始めた。旦那はなにやらまずいと思ったのか「行けるところまでだよー、今日中に帰るんだよー」とか言っている。でも富士山だ。なんせでっかいんだ。きっとみれるさ。「日焼け止めもたっぷり塗るんだよー、脱いだり着たり出来る長袖の上着を着なさーい。カメラのフィルム予備あるー?汗いっぱいかきそうだからハンカチかタオルちゃんともってねー。」よく気のつく旦那である。
1:25PM、やっと用意ができた。朝ご飯もしっかり食べた。いざ出発だ。ちなみにわが家の移動手段はオートバイの二人乗りである。いいぞーバイクは。都会から出たときの空気の変化をじかに肌で感じられる。なまあたたかかった風が郊外に出た瞬間、急にさわやかに吹きはじめるんだ。
還七から甲州街道をひた走る。道はお盆のためかすいている。しかし暑い。でも富士山をみるためだ。がまんがまん。でも暑いけど。
八王子を過ぎて相模湖まであと少しというところで急に風が変わった。なんてさわやかで気持ちがいいんだ。峠道になって右に左にカーブが続く。バイク大好き人間の旦那が楽しそうだ。わかなもたのしい。なんてステキな夏休みだ。
3:30PM、ようやく大月まで来た。でもぜんぜん富士山がみえない。何処に行ってしまったんだろう、わかなの富士山。しくしく。ちょっと悲しくなってきた。
旦那がバイクを止めて言った、「登山道の方に入ってどうせだから山中湖まで行こう。ぜったい富士山を見せたる。たしか139号線にはいれば、真っ正面にみえたはずなんだ。」なんてうれしいお言葉。
5:00PM、少し陽が傾いてきた。バイクはどんどん進む。
あ・あれ‥かな?
‥‥見えた!!見えた見えた!
少しぼやけて確かにみえた。今まで冬と秋にしか見たこと無かった富士山の夏の顔。今までと全然違った。んでもおおきい。あー、どんどん全身が見えてきた。すごーい、うれしー。すこしけぶった感じの富士山。あー、しあわせー。このままバイク止めて、ずっと見ていてもいいなあ。
旦那が言った。「おれは意地でもボートに乗るぞ!」
ん?そっか、旦那はボートに乗りたかったのか。よーしいいとも。おしりはちと痛いけどこんなにでっかく富士山を見せてもらったんだし、ボートでもなんでも付き合いましょう。それに、きっと湖からみる富士山はまた格別でしょう。
そしてバイクはすすむ、陽はどんどん傾く。
でもがんばった。とうとう着いた。目の前にでっかい水たまり。これだ。5:45PM、夕日が輝いてる。とってもきれい。さ、ボートだ。あ、でもソフトクリーム見つけちゃった。いかんいかん、ボートが先。でも‥。
「先にソフトクリーム買ってきていいよ。」さすが旦那。ばれてたのね。
貸しボートのおにいちゃんに「陽が落ちて暗くなるまでに帰ってきて下さいね。」と言われながらもとうとう乗った。うーんいいきもち。富士山は大きいし。夕日はきれいだし。こいつはいっぱつ歌でもうたっちゃおー。富士山も写真とっちゃおー。
あーしあわせ。このままぷかぷかずーっと浮いてたいなー。

旦那が言った。「どっか温泉入って帰ろう!」
そっか、旦那は温泉にも入りたかったのね。よーしいいとも、たとえ帰り道でまた真っ黒になるとはいえ、せっかく来たんだもの、富士山もりっぱにみせてもらったんだもの、お風呂だって付き合いましょう。アスファルトと汗でどろどろのこの身体に温泉はまた格別でしょう。
貸しボートのお兄ちゃんが教えてくれた、お勧めの紅富士の湯についたのが6:20PM。まだあたらしいからとってもきれい、とっても広い。待ち合わせは7:40PMにしてさっそくざっぱーん。うー、いきかえるー。それにしてもいろんなお風呂がある。順番に全部入っちゃお。まずはジェットバス。それからサウナ。十分あたたまってからいざ、露天風呂だ。おお、すごい。桧と岩風呂。しかもそれぞれ温度がちがう。それになかなか外も広い。無粋な壁なんかはなくって、岩と木々でなかなか上手く目隠ししてある。サイコー。‥‥。はっ、いかんいかん、のんびりしてたら全部のお風呂を満喫できない。とりあえずまた中に戻って、次は打たせ湯。それからぬるーい源泉にちょっぴり浸かって、ふー。おっ、ぼちぼち時間だ。あー、今日は富士山見たし、ボートも乗ったし、温泉にまで入れたし、もおサイコー。大満足。あー、しあわせ。
そして旦那は言った。「最後はほうとう鍋とかそばでしめくくりたいなー。」
お、そうか、旦那の旅行気分はほうとう鍋でしめくくりなんだな。よーし、いいとも。もう8:00PMだし、ここでカレーライスでもいいかも、なんて思っていたけど、いいでしょ、付き合いましょう。なんとかして探しましょう。きっとあるさ。たとえ時間がちょっぴり遅めでも成せば成る。こんなに楽しませてもらったんだ、なんとかして旅行気分で最後まで締めくくりましょう。ほうとう鍋たあ、よく言ってくれました。じつはわかなはほうとう鍋にも弱いんだな。あれはおいしい。
「時間が遅めだからちょっときついけど、一応、探しながら帰ろう。」と旦那。んでも、わかなはすっかりほうとう食べるつもり。
バイクは走る。どんどん走る。真っ暗になってしまって、富士山はみえなくなったけど、わかなはとってもしあわせなきもち。でもお店が開いてないなあ。139号線をもうだいぶ来てしまった、もうすぐ20号線、大月。「むつかしいかもしれないなあ」旦那がさみしそうに言う。わかなもかなしい。もうちょっと探してみよう。おっ、あれは?‥‥ちがーう。ローン会社の看板だった。‥‥。しくしく。見間違えた。
もう9:00PMだ。
んっ?ほうとう?えっ?
あっ、あったー!!旦那、あったあった!
バイクは急には止まれない。安全なところでゆっくりUターンして、お店を確認。やっぱりほうとうってちゃんと書いてある。見間違いじゃない。飲み屋さんも兼ねてるみたいなちっちゃい店。おばちゃん一人でやってるみたい。「おすすめはなんですか?」一応聞いてみた。「かきあげとざるうどんですね。」おばちゃんはなかなか愛想がいい。だんなはほうとう、わかなはおばちゃんのおすすめにした。んでももちろんはんぶんこするけどね。あれ?なんとおばちゃん、注文きいてからおうどん打ってるよー!すごーいっ!うまそー。「朝採ったトマト、よかったらどうぞ。」おばちゃんったらサービスも満点。しかもおいしーい!!これはもしかしてナイスなお店をみつけてしまったかも。
期待どおり、おすすめざるうどんもかきあげもほうとうもナイスなお味でした。あー、もう今日はサイコー。しあわせー。夏休みってこういうものなのね。
家に近づいてからさらにラーメンを一杯食べて、とうとう旦那も満足した。
1:00AM、ながーい休日は終わった。今日わかなは、富士山を見て満足して、ボート乗って満足して、お風呂入って満足して、ほうとうとおうどん食べて満足した。
しあわせな一日でした。
旦那、運転おつかれさま。
ちなみに旦那はそのあと朝8時に起きて、友達と一泊の温泉旅行に行ってしまった。なんてタフな奴。わかなは旦那が起きたのも出ていったのも全然知らなかった。 |